犬山市が目指すやさしいまち
ページ番号1001158 更新日 令和5年4月7日 印刷
ディテール集
1,建築計画の段階では
(1)平面計画では
人にやさしい街づくりを進めるにあたり、一番問題になるのは事業が進んでしまってから改善をしなければならないときです。これまでも図面が出来上がってから指導をしなければならない状況がいくつかあり、こうなってしまってはやはり事業費も増加せざるを得ません。まずは概要を決める段階で(注1)ユニバーサルデザインを取り入れて、誰もが気軽に使える平面計画を十分検討することが必要です。
部屋の利用目的 質問:どんな利用? 回答:事務所、憩いの場、会議、作業など
部屋の利用対象 質問:だれが使う? 回答:すべての様々な人、限られた人
部屋の利用形態 質問:どんな部屋? 回答:和室、洋室、土間、廊下(段差)など
特に土間、和室など履き物を履き替える箇所では、杖や車いすには非常に使いにくい場合があるので、その必要性を明確にしておき、どうしても不特定の人が利用する施設においては利用時における対応も十分検討することが必要です。
これらが決まった段階で、やるべき内容は大体見えてきます。
(2)展開、設備計画について
平面計画と合わせて展開計画や設備計画についても同時に検討することが必要です。
特に注意する部分としては、手摺りや衛生器具はもとより緊急通報設備などの配置も十分な検討が必要です。また、部屋毎や部屋の内部においても段差が生じる場合、使用方法が非常に限定されます。特に利用対象・利用形態の検討が必要になりますので注意し、利用者が限定できない場合はすべての人に使いやすいものとすることが重要です。
(3)移動計画では
「すべての人がスムーズに移動できる」ということを前提に、検討することが重要です。
特に縦方向については段差レベルのものから階層の移動まで、全てについてバリアを解消することが重要であります。また、横方向についても快適に移動できることも重要であり、点字ブロックの色彩・壁表面の質感なども十分な検討を行う必要ががあります。
(注1)ユニバーサルデザイン
できるだけ多くの人が利用可能であるように製品、建築、空間をデザインすること
2,計画の進め方フローチャート
個別基準
愛知県人にやさしい街づくり整備指針および犬山市人にやさしい街づくりアドバイス部会指摘事項のまとめ
動線計画
- アプローチおよび建物内部の動線は明快で短くし、車椅子は別ルートに分けたりしない。
- 玄関、受付案内所、エレベーター、トイレ等重要なところにデザイン、表示、照明に注意を払う。
段差のない建築計画
- 水平の確保
道路・駐車場から建物の出入り口までの主要動線および同一階における主要動線に段差を設けない。 - 段差の解消
やむを得ず高低差を設ける場合は、限りなく小さくし段差を解消するためのすりつけやスロープ等を設ける。
アプローチの安全確保
- 歩車動線の分離
建物のアプローチは、歩行者と車の動線を分離する。 - 障害物の解消
アプローチ上の溝や設置物などが通行の障害とならないようにする。
注意点
アプローチ部分において誘導ブロックを設ける場合は、歩道を設置する。
また、前面道路に歩道がない場合は設置しない。
車椅子使用者専用駐車スペースの確保
- 設置数
50台に1台の割合で設置する。 - 設置位置、設備
建物主要な出入り口に近い位置に設置する。屋根や音声注意装置を設ける。 - 大きさ
幅は、1台あたり350センチメートルを標準とする。(イラスト参照) - 表示
シンボルマークと乗降用スペースの斜線を塗装表示する。
出入り口の構造
- 有効幅員(写真参照)
屋外への主要出入り口の有効幅員は90センチメートル以上とする。扉の前後には水平スペースを設ける。
建物内部の出入り口は80センチメートル以上とする。 - 扉の形状(イラスト参照)
主要出入り口は、できる限り自動扉とする。出入り口は引き戸とする。
開き戸の場合は、車椅子等の利用者が開閉しやすい水平スペースを確保する。
取っ手は「引き戸は棒状」「開き戸はレバーハンドル」とし、壁側にも手摺りを設ける。
通路、廊下の幅員
- 有効幅員
屋外への主要通路およびアプローチは原則140センチメートル以上とする。
やむを得ない場合はその他適切な位置にすれ違い等のためのスペースを確保する。
床の仕上げ
- 建物内部の廊下、部屋およびアプローチの路面は、滑りにくく平坦な仕上げとする。
注意点
玄関マットを設置する場合は、誘導ブロックを避けると共に、その部分のタイルなどの仕上げを行わずにマットの段差なくすように努める。
トイレの構造
- 洋式便器のブースを設け、手摺りを設置する。
- 床置き式スートルの設置
最低1器以上は、手摺り付き床置きストールとする。 - マルチトイレ(多目的トイレ)の設置、位置、規模(写真参照)
不特定多数が利用する建物は、マルチトイレを設ける。
マルチトイレは一般トイレと一体的に計画し、誰にも利用しやすく選択肢を広げる。
マルチトイレの注意点
大きさは200センチメートル×200センチメートルを最低寸法とする。(内部に150センチメートル以上の円空間を作る)
出入り口の有効幅員は80センチメートル以上とする。
扉は吊り下げ式引き戸又は自動引き戸とする。
逆向き着座も考え、便座蓋や側面に張り出したウオッシュレットなどの特殊便座は用いない。
便器に座ったまま利用できる小手洗いを設置する。
自動洗浄装置および非常警報装置を設ける。
可能であれば左右対称で2ヶ所設けて、オストミー施設や更衣台なども検討が必要。
エレベーターの設置(写真・イラスト参照)
- 一般利用者の範囲が複数階におよぶ場合は、屋外・屋内問わず原則車椅子対応エレベーターを設置する。
- 車椅子対応エレベーターの仕様
開口有効幅員は80センチメートル以上とし、内寸は幅140センチメートル、奥行き135センチメートル以上とする。
車椅子で届く高さに操作盤を設け、点字表示および音声案内の設備を設置する。
カウンター、公衆電話等の配慮(写真参照)
- 書類などを記載するカウンター等については、車椅子のまま使用できるカウンターを設置する。
- 公衆電話、自動販売機などは最低1台は車椅子のままで使用できるものとする。
注意点
カウンター下部の高さを70センチメートル程度とする
奥行きは50センチメートル程度確保する
天板はできるだけ厚みを抑える
スイッチ、ボタン等の配慮(写真参照)
- 操作部の大きいものを利用する。
- 表示も見やすいものとする。
- 分かりやすい位置、手の届きやすい高さに設置する。
注意点
できるだけ大きなスイッチを設置
わかりやすいところに設置
スイッチの高さは90センチメートル程度
コンセントなどの位置は床から45センチメートル程度
スロープの設置(写真・イラスト参照)
- 高低差はできる限り小さくする。
- 勾配は原則12分の1以下とする。屋外では15分の1以下(ISOでは20分の1以下)とする。
- 始点、終点、踊り場等には、水平なスペースを確保する。
階段および手摺りの構造
- 回り階段は禁止
- 有効幅員は原則120センチメートル以上
- 適切な形態の手摺りを設置する。(写真・イラスト参照)
- 段鼻は滑りにくく、識別しやすいものとする。
- 蹴上げ15センチメートル程度、踏み面30センチメートル程度とし、不規則な連続をさせない。
注意点
手摺りの設置において、高さ・形状はもとより壁の仕上げや障害物などにも注意が必要。
手摺り端部には位置や行き先を知らせる点字シールを設置する。
視覚障害者誘導用点字ブロックの敷設
- 点字ブロックは、次の場所から重点的に設置する。
- 視覚障害者に利用が多い施設と公共交通機関の駅等を結ぶ道路
- 視覚障害者の歩行が多い道路
- 多数の人が利用する施設の前面道路から建物の受付まで
- 多数の人が利用する施設の主要動線における階段および段差
- 誘導ブロックは分かりやすく直線的で、曲がりは原則として直角とする。
- ブロックの形状は、原則300ミリメートル角とし、警告ブロックは縦横6ポイント、誘導ブロックは縦4列のものとする。
- 点字ブロックの周辺は凸凹が識別しやすい平坦なものを用いる。
- 点字ブロックは床面と明度や色彩のコントラストをはっきりさせる。(原則黄色)
注意点
良好に整備した後に看板や放置自動車などにより、点字ブロックが利用できないこともあるので、充分に管理していくことが重要。
案内設備は、高齢者や障害者にも分かりやすい仕組みを整える。
緊急時の誘導システムは、高齢者や障害者にも十分に配慮して整備する。
まとめ
ここで定めるものは、すべての人たちが快適に利用できる施設を目指した「最低の基準」であり、施設の利用目的や状況に応じてさらに検討を行いより良い施設にしていくことが重要です。
このディテール集におきましてもそれらの改善点などを含めて、今後も発展させていきたいのでご協力をお願いします。
このページに関するお問い合わせ
都市整備部 都市計画課 建築指導担当
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