令和6年度 施政方針

ページ番号1010673  更新日 令和6年2月26日 印刷 

はじめに

 今議会に提出いたしました令和6年度当初予算をはじめ、諸議案の審議をお願いするにあたり、わたしの所信の一端を申し述べさせていただきます。議員各位ならびに市民みなさんのご理解とご協力をお願いします。

 犬山市は4月1日に市制70周年を迎えます。令和6年度は市役所の機構改革を行います。そして、わたしは、市長就任から2年目に入りました。みなさんから求められるのは何か?結果です。大きな70年の節目を迎え、先人たちに感謝しつつ、これまでの継承から、犬山を新しく大きく前に進める1年とします。

 国道41号の五郎丸までの6車線化が2月に完了しました。市内に鉄道駅が7駅もあります。名古屋にも岐阜にも近く、交通の利便性が高いまちです。先人から継承した豊かで個性的な歴史文化や自然資源も多くあります。そして、犬山を好きな人財に恵まれています。つまり、まだまだ犬山には可能性と潜在力があるし、さらなる求心力のあるまちづくりができると考えています。
 そこで、今議会では「住み続けたい犬山実現予算」と位置付けて、わたしの思いや考えをお示しさせていただきます。

 その思いをカタチにするためには、新たな挑戦をしつつも、変わらないこだわりも大切だと思っています。それは、「人を大切にすること」、「地域を大切にすること」です。犬山の財産は、目に見える地域資源だけではなく、それぞれの地域にある文化であり、そこにある市民みなさんの毎日の営みが財産なんです。それら目に見えにくいものを大切にすることで、さらなる「本物」の犬山を生み出していきたいと思っています。みなさんが真ん中にいるやさしく・げんきな犬山で、犬山に住みたい、住み続けたいと思っていただける持続可能なまちづくりのため、みなさんと一緒に犬山を見つめて、犬山を動かしていきます。そして、犬山を前に進めていきます。

 その結果が、「近きものよろこび、遠きもの来る」…「来るまち犬山から、住むまち犬山」への転換となり、犬山の成長につながっていくはずです。

令和6年度当初予算について

 それでは、ここから「住み続けたい犬山実現予算」令和6年度当初予算について、その全体像をお示しした上で、主要施策について、部局ごとにご説明申し上げます。

 令和6年度当初予算の規模につきましては、一般会計では、278億780万円となります。対前年度比では1.3%、3億6,788万円6千円の減額、特別会計と企業会計を合わせた全会計の総額では、481億7,521万7千円となり、対前年度比では0.6%、2億6,915万9千円の減額となりました。
 一般会計のうち歳入につきまして、まず、市税では、令和5年度からの増収を見込みました。個人市民税は、1億2,654万9千円の増額となる43億4,430万9千円、法人市民税は、8,589万7千円の増額となる9億8,826万2千円、その他諸税を合わせた市税全体では、2億7,177万円の増額となる120億8,591万1千円を計上しました。
 次に、地方消費税交付金につきましては、原資となる地方消費税の減収が想定されています。令和5年度と比べ、1億6,941万4千円の減額となる17億90万1千円を計上しました。地方交付税におきましては、原資となる国税で増収が想定されていることなどを受け、令和5年度と比べ、3億6,746万8千円の増額となる21億5,048万3千円を計上しました。
 また、財源確保の面では、ふるさと納税があります。本格的な取り組みを始めた平成27年度以来、毎年着実に増加させてきました。しかし、総務省のふるさと納税に関するレギュレーション厳格化の影響を受け、令和5年度と比べ4億3,000万円の減額となる6億7,000万円を計上しました。減額分を挽回するために、新たな記念品開発など、工夫と不断の努力の積み重ねを続けてまいります。
 一方、市債では、市税や地方交付税などの増額に伴い、臨時財政対策債で、令和5年度に比べ2億1,926万6千円の減となる6,868万6千円を見込みました。事業債の活用にあたっては、財政規律を重視し、市債全体としては令和5年度に比べ4億4,446万6千円の減となる8億4,978万6千円を計上しました。
 歳出につきましては、予算科目の款別で金額の大きな順に申し上げます。まず、社会保障費が多く含まれる民生費が107億4,980万3千円で全体の38.7%を占めます。次いで6億7,000万円のふるさと納税の基金への積立金が含まれる総務費が38億5,325万6千円、小中学校の特別教室空調設備整備費が含まれる教育費が34億7,715万1千円と続いています。
 なお、歳入と歳出の乖離である財源不足分につきましては、財政調整基金からの繰入金により補塡しました。ここに補正予算を加味した基金の残高は、約15億2千万円を確保しています。
 当市においては多くの施設が老朽化しています。それに伴い故障個所も増え、大規模修繕や設備機器の更新が増えてきている状況から、修繕等の維持管理経費への重点配分を行いました。
 現時点における市税収は堅調に推移する見込みです。一方、突発的な自然災害に備えるなど、市債残高や基金残高も意識をしながら、実施すべき事業を見極めました。

主要政策について

これ以降は、主要施策を部局ごとに申し上げます。

経営部

 はじめに「経営部」です。
 犬山市は、令和6年4月1日に、市制施行70年を迎えます。
 これを記念し、市内各所では「市制70周年記念」と銘打つ事業を、記念式典を開催する5月18日 土曜日と、翌19日 日曜日を中心に開催します。
 記念事業は、「やさしさ」・「げんき」・「さいはっけん」をテーマとし、‶市民が真ん中 この日はまるっと1日犬山三昧(ざんまい)″をキャッチフレーズに、市内の企業や団体などと一体となった、市内各所での市民参加型のイベントや、切手をはじめとする記念物品の作成を予定しています。
 そして、5月18日に向けて、記念事業の機運を盛り上げていきます。まず、4月4日に「大相撲犬山場所」を、4月27日には「出張!なんでも鑑定団in犬山」の公開収録を開催し、市民みなさんに楽しんでいただきます。

 さて、現在、犬山市は、「来るまち いぬやま」から「住むまち いぬやま」への転換を進めています。
 これからのまちづくりを考える上で大切な人口減少への対応として、令和7年度からスタートとなる、まちに活力を生み出す施策をまとめる新たな総合戦略の策定に着手します。
 また、犬山市への移住を促進します。そのため、令和5年度の、移住相談にワンストップで対応する専用窓口の設置や、「住むまち」の魅力や情報をまとめて紹介する専用ウェブサイトの開設に続き、令和6年度は、市外での「住むまち いぬやま」のPRを積極的に行っていきます。また、犬山市への移住を後押しする施策として、市内で新たな生活をはじめ、同時に、文化芸術、スポーツをはじめ様々な分野での活動や、地域課題に対応した活動などを継続的に行うことで、まちに活力をもたらしてくれる方を対象とする補助制度「これから いぬやま応援団」を創設します。
 さらに、移住された方同士の交流会を企画します。そこから、新たな人と人とのつながりを育む機会を設け、住むまちとしての魅力向上につなげていきます。

 「広報犬山」については、市内の全ての世帯の方にご覧いただける情報誌となりました。令和6年度には、よりわかりやすく、親しみやすい広報紙を目指し、令和7年4月号からのリニューアルに向けた作業に着手します。
 市行政を担う多様な人材、優秀な人材を獲得するため、採用試験の見直しに取り組みます。
 事務職においては、SPI試験を導入します。人柄や適応力、基本能力、スキルを、専門職では教養試験を廃止し、資格や経験値など専門的な知識を重要視した採用とします。
 併せて犬山市の職員募集を広く周知するため、PR動画の作成、SNSでの拡散など、受験者の増加を目指します。

 利便性の高い市民サービスの提供や効果的・効率的な行政運営を行うため、ICT等の最新技術の研究・導入を進めてまいります。
 市役所をはじめ犬山市全体で「分かる」・「見える」・「届く」ようなデジタル改革を進める方針を掲げ、デジタルを取り入れた持続可能な犬山づくりを創出していきます。

市民部

 次に「市民部」です。
 「多様性社会推進課」を新たに設置し、態勢を強化していきます。

 令和6年4月より、性的マイノリティの方々への支援施策として、パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度を開始いたします。
 また、「犬山市ジェンダー平等審議会」を立ち上げ、ジェンダー平等施策の実施に向けて検討していきます。

 多文化共生については、令和5年度に実施したアンケート調査の検証結果を基に、事業の見直しを行います。
 また、外国人市民及び市民の皆様と行政との距離を縮めて理解を深めるため、多文化交流マルシェを実施します。

 防災については、甚大な被害をもたらした能登半島地震を自分事と捉え、南海トラフ地震による災害に当市でも備える必要があります。
 令和6年度は、総合防災訓練を犬山西小学校で実施します。土砂災害の危険のある地区での災害に備える訓練を今井地区で行います。それぞれで実施し、地域防災力の向上を図ってまいります。
 また、ペットとの同室避難や福祉避難所の開設訓練を繰り返し行いながら、避難所運営の改善に努めていきます。
 災害時の情報発信は、コミュニティFMの電波を利用する緊急放送設備を整備し、緊急情報や避難情報などを発信する防災ラジオの導入を進めます。
 防災ハンドブック及びハザードマップの更新版を作成し、市民の防災意識を高めます。

 交通防犯対策については、自転車乗車用ヘルメット購入費の補助を継続し、ヘルメット着用の普及啓発に努めていきます。

 また、引き続き防犯カメラを計画的に増設し、安全で安心なまちづくりの推進に努めていきます。

 これまでマイナンバーカードによる住所変更や電子証明書の更新手続きは、市役所本庁でしか行うことができませんでした。10月からは、出張所において手続きを行うことができるようにします。
 

健康福祉部

 次に「健康福祉部」です。
 全ての市民で、やさしく元気な地域共生社会を実現するため、「犬山市手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進に関する条例」を制定します。手話が言語であるとの理解を促すとともに、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の普及啓発及び利用促進を図ります。
 「個性も価値観も好みも十人十色。そんなみんなが真ん中にいられたらいい。」をポリシーとし、障害者とコミュニケーションで共生できる社会の実現に向け施策を実施します。

 複雑化・複合化した市民の支援ニーズに対応するため、「重層的支援体制整備事業」を令和6年度から本格的に実施します。

 令和5年度に策定した「第10次高齢者福祉計画」及び「第9次介護保険事業計画」に基づき、地域包括ケアシステムの構築を進めてまいります。
 団塊の世代のすべての方が後期高齢者となる令和7年度を見据え、高まる在宅ニーズに応え、高齢者の方々が住み慣れた地域で安心して生活を続けられることが求められます。そこで、高齢者あんしん相談センターの体制を強化し、これまで以上に高齢者の支援体制を強化します。

 認知症施策としましては、令和5年度から開始した認知症チェックシートによる早期の発見と支援を引き続き実施します。また、認知症サポーターの養成やチームオレンジの支援、認知症地域支援推進員の増員を進めます。加えて、9月の世界アルツハイマー月間に合わせ、産学官の連携による「犬山オレンジフェスタ」を開催します。

 令和6年度以降の介護保険料の算定に際しましては、物価高など昨今の社会情勢に鑑み、当市の実情に合わせた精緻な分析により過不足のない給付費を見込み、基金や当市独自の所得段階の弾力化などを活用することで、保険料負担を必要最低限に抑えた水準を見極めました。

 次に、総合的な交通施策の見直しの一環として、高齢者タクシー助成事業を段階的に拡充します。
 まず、令和6年4月から、75歳から84歳までの高齢者のうち、自動車運転免許証を所持しておらず、住民税非課税世帯に属する方を新たに基本料金助成の対象とします。
 さらに、令和7年4月からは、85歳以上の高齢者のうち、住民税非課税世帯に属する方に対しては、これまでの基本料金助成に加え、年間12,000円の利用料金の助成を開始する予定です。

 国民健康保険では、医療費増加の影響を受ける県納付金に対応するため、国民健康保険税率を引き上げます。一方、基金からの繰り入れとともに、計画的な一般財源の投入により、被保険者の負担の激変緩和を図ります。

 医療・保健の分野では、市民を中心に健康づくりを積極的に進めていく行動計画として「第3次みんなで進めるいぬやま健康プラン21」の策定を行います。
 高齢者が要介護状態になることを防ぎ健康寿命を延ばすため、虚弱状態であるフレイルに着目した事業として、引き続きアイフレイル眼科健診、オーラルフレイル健診を実施していきます。
 母子保健事業では、産後ケア事業のメニューとして、現在実施している産科クリニックで宿泊する宿泊型、助産師が自宅へ訪問する訪問型に加え、新たに産科クリニックで相談やケアが受けられる通所型の事業を開始します。

 子育て支援事業では、天候に関係なく、子どもがのびのびと体を動かし、遊ぶことのできる環境整備として、屋内型キッズスペースについて、交通アクセスや公共施設の利活用、整備費などの検討事項とアンケート結果を踏まえ、実施場所を定めました。「ヨシヅヤ犬山店 2階」にて、令和8年度早期の事業開始を目標に進めていきます。

 次に、児童福祉法改正により、令和6年4月より「こども家庭センター」を設置します。
 「こども家庭センター」は、母子保健分野と児童福祉分野で実施している相談支援などを実施します。加えて、新たに妊娠届から妊産婦支援、子育てや子どもに関する相談を受けて支援を要する子どもや妊産婦等へのサポートプランの作成や地域の関係機関と連携により、子育て支援体制の強化・充実を図っていきます。

 また、第2期子ども・子育て支援事業計画が令和6年度で終了することに伴い、令和7年度からの「第3期犬山市子ども・子育て支援事業計画」を策定します。この計画は、当市における子ども・子育て支援事業の方針を示すもので、令和5年度に就学前児童及び小学生児童の保護者を対象に実施したニーズ調査をもとに、市民の皆様のご意見やご要望を計画に反映させます。そこから、子育て施策に必要な事業量の推計、目標量の設定などを行い、当市における子育て支援を推進していきます。
 この計画には、令和5年度に市独自で実施した「ヤングケアラー実態調査アンケート」の結果を踏まえた今後の取り組みについても示していきます。

 次に、長年、子どもを持つ保護者より要望の高かった病児保育事業を令和6年4月より、総合犬山中央病院にて開始いたします。「子どもの体調が悪く保育園や幼稚園、学校に通わせることができないが、どうしても仕事が休めない」そのような時に、一時的にお子様を預けることができるようになります。
 (仮称)新橋爪・五郎丸子ども未来園は、令和7年4月開園に向け、新羽黒保育園は、令和8年4月開園に向け着実に事業を進めていきます。

 子ども未来園、犬山幼稚園における給食の提供については、近年の食材料費の値上がりなどにより、これまでの給食の提供が困難な状況となってきました。
 給食は、子ども達が健やかに成長していく過程で重要です。栄養価があり、おいしい給食を提供するため、令和6年4月より、子ども未来園や犬山幼稚園に通う3歳児以上の保護者に負担していただく給食費を月額600円の値上げ改定をいたします。

都市整備部

 次に「都市整備部」です。
 新型コロナの影響を受け、令和2年4月より事業を見合わせてきました『道の駅』整備につきまして、再検証を行ってきました。結果、物価高騰など社会情勢の大きな変化により、事業費の大幅な増加や民間事業者の事業参画意欲の後退など、当初見込んでいた、事業の費用対効果が見込めないことから『白紙』とします。
 国道41号(名濃バイパス)南側の道の駅整備に替わるまちづくりとしては、6車線化による効果を最大限に活かす必要があります。そこで、下水道整備による沿道の商業立地の促進と、定住人口の確保など市の課題解決に繋がる新たなまちづくりとして、市街化区域への編入による新市街地の形成を目指します。道の駅は白紙としましたが、新しい犬山づくりの実現に向けて、スピード感を意識して、地域の皆様と一緒に検討を進めていきます。

 空家等対策計画の令和7年度の改訂に向け、空き家の件数及び管理状況の実態について調査を行います。

 新たな幹線道路による東西軸の確保に向けた事業として、「都市計画道路蝉屋長塚線」について、予備設計に着手します。
 また、「市道楽田桃花台線」については、引き続き、早期に事業効果が発現できる現在の道路用地幅による拡幅工事を進めてまいります。
 都市基盤の未整備な市街地対策として、五郎丸西地区の暫定用途解除区域の排水路整備に向けて、下水道事業計画の変更に着手するとともに、橋爪五郎丸地区計画内の道路の整備や狭あい道路の改善については、引き続き取り組んでまいります。

 ゲリラ豪雨等による冠水対策では、羽黒新田・楽田西地区の工業団地周辺の五ヶ村排水区について、雨水幹線の整備に着手します。
 また、愛知県が実施する砂防事業の進捗に併せて、池野富士地区の大門洞排水路の整備に着手します。

 橋梁長寿命化修繕計画に基づき、令和6年度は寺洞橋、青塚架樋橋、富ヶ丘橋及び登校橋の修繕工事を進めてまいります。

 公園の維持管理について見直し・検証を行います。
 市内の多くの公園は、利用され始めてから30年以上が経過し遊具や施設の老朽化が進んでおり、利用者が少ない公園もあります。
 そこで、地域の声を聞きながら、より親しみが持て、利用者が増えるよう再整備も含めた検討に着手します。
 また、現在公園やちびっこ広場の大部分は町内会に維持管理をお願いしていますが、少子高齢化などの理由から維持管理が困難との意見を頂く回数が増えています。
 今後の維持管理をどのように継続していくかを検討していきます。

 企業会計である水道事業及び下水道事業については、持続可能な水道・下水道を目標に、市民に安心・安全なサービスを提供できるよう、将来に向けて積極的な設備投資を進めていく方針としています。
 その基本方針に基づき、水道事業については、お正月に能登半島地震が発生したように、犬山での大規模地震に備え、水道管路と水道施設の耐震化工事や老朽化に伴う更新工事を引き続き実施し、安定した水の供給を目指します。
 下水道事業については、計画的に市街化区域及び前原台団地の管きょ整備を進め、既存下水道施設の適正な維持管理を行い、不明水の削減を図る方針としています。
 これを踏まえ、令和6年度は、五条川右岸処理区の犬山西古券地区の整備を引き続き進めていきます。
 五条川左岸処理区については、前原台団地内の整備を引き続き進め、令和9年度末での集中浄化槽からの一斉切替による供用開始に向けて着実に進めていきます。
 不明水の削減対策としては、下水道管の更生工事を楽田、羽黒、犬山地区などを中心に実施し、侵入水の削減に取り組んでいきます。
 

経済環境部

 次に「経済環境部」です。
 環境施策については、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを推進するため、令和6年度及び7年度で重点的に公共施設の照明のLED化を進めます。同時に、公共施設への太陽光発電設備導入に向けた具体的な取り組みを実施してまいります。

 また、湿地サミットの開催をはじめ、犬山市の豊かな自然環境及び生物多様性の保全を推進するため、犬山里山学センターを拠点に取り組みを進めてまいります。

 そのほか、都市美化センター建設の地元補償事業として、城東地区において整備を進めてきた多目的広場を完成させるとともに、善師野地区においては防災広場の用地取得を開始します。

 産業振興においては、令和6年度も様々な施策を積極的に推進してまいります。
 地域経済対策については、事業者ごとに異なる経営課題に個別に対応していくため、現在実施している専門家による事業継続支援事業を、引き続き実施してまいります。
 新たに、創業支援施策を設け、市内創業を推進するとともに、市外の方に向けても、犬山市へ移住して創業していただけるような施策に取り組みます。
 働く場所の創出や自主財源を確保するため、引き続き産業課をワンストップ窓口としながら全庁的な協力体制を整え、産業集積誘導エリアへの企業立地に向けた取り組みを進めます。
 沿道の賑わいによる活性化を促進するため、商業集積ラインに、民間事業者と連携し商業立地の促進を図ります。

 消費者行政につきましては、犬山市消費生活センターを拠点として、引き続き、相談体制の充実・強化に取り組んでまいります。

 農業施策においては、犬山産農産物の6次化支援などさらなるブランディングの推進を図るとともに、引き続き新規就農者の掘り起こし、耕作放棄地対策、イノシシ対策など、犬山の農業を守るため、農業振興を総合的に進めてまいります。
 中でも、農産物のブランディング推進については、犬山を代表する特産物である「犬山の桃」、「二の宮みかん」、「じねんじょ夢とろろ」など、農業関係者や関係団体と連携しながら持続できる産地づくりに取り組んでまいります。

 観光施策については「犬山市観光戦略」に基づき、「近きものよろこび、遠きもの来る」を念頭に、持続可能な観光まちづくりを進めてまいります。
 市民生活と観光客との共存と調和に向けて、城下町地区住民との対話を続けていきます。犬山商工会議所・犬山まちづくり株式会社・犬山市観光協会などの関係団体と連携して「SDGs観光まちづくり会議」を継続開催し、観光に関する諸課題の改善に向けた検討と実践を進めます。取り分け、犬山観光の高質化及び平準化・分散化に全力で取り組みます。

 また、新たな財源確保と混雑緩和を目指して、二つの観光駐車場に関し、使用料の見直しを試験的に実施し、取り組み内容の効果を検証します。また、犬山城入場登閣料の変動制や、新たな観光税についても検討を進めます。

 木曽川の河川空間を活かしたまちづくりについて、河川管理者からの支援を受け、取り組みを加速するため、「かわまちづくり計画」策定に着手します。
 合わせて内田地区の皆様と一緒になって、河畔に親しむ機会を創出しながら、利活用の可能性を探る実証事業を実施します。整備に向けた取り組みとして、現状を把握するため、河川堤防の構造調査を行います。

 花火大会は、令和5年度に引き続き、8月1日から10日までの間にロングラン花火を行います。合わせて「宵のいぬやマルシェ」も開催し、木曽川河畔での夜の賑わいづくりに努めます。

 木曽川うかい事業については、木曽川観光と連携して伝統漁法の保存継承に努めるとともに、重要な観光コンテンツとして、さらなる磨き上げを図ります。

 栗栖地区では、引き続き栗栖園地の拡張整備を進め、犬山の自然を満喫できるアウトドア空間としての利便性や魅力を高めます。

 魅力ある観光地づくりには、多様なコンテンツの造成は欠かせません。犬山市観光協会と緊密に連携し、市民が担い手となる体験型観光コンテンツの造成支援を進めます。同時に、様々な事業者や団体、そして市民の皆様とも連携・協力して、新たなコンテンツ造成にも取り組んでまいります。

教育部

 次に「教育部」です。
 小中学校の給食費は、昨今の物価高騰対応と、子どもたちの成長に必要な量と栄養バランスのよい給食を提供するため、令和6年度は、1食あたり小学校30円、中学校40円をそれぞれ増額し、小学校320円、中学校380円に価格改定を行います。
 給食費無料化事業では、第3子以上となる児童生徒に加え、小学6年生と中学3年生に対象を拡充しました。また、令和6年1月から3月までは国の交付金を活用し、全学年を無料化しています。さらに無料化を拡充するよう、令和6年度から、新たに小学1年生の無料化を進めてまいります。

 次に、大規模改修事業を進めている犬山南小学校は、令和7年度の完了を目指し、南舎長寿命化改良工事を進めてまいります。
 犬山南小学校の次に整備を予定している城東小学校と城東中学校は、校舎の耐力度調査結果に基づき、危険改築の対象となった城東中学校を先に整備し、引き続き城東小学校の整備を進めていくよう基本構想を策定し、設計業務に着手してまいります。

 小中学校施設の長寿命化計画に基づき、犬山西小学校の非構造部材の改修をはじめ、教育環境に支障をきたす設備などの改修工事を行い、各校にある給食室は、現況調査を行います。
 また、小中学校のエアコンは、令和6年度中に理科室や美術室など31カ所の特別教室へ設置します。

 増加傾向にある不登校対策は、子どもたちが置かれた様々な家庭環境を改善するために配置したスクールソーシャルワーカーとともに、教育支援センター「ゆうゆう」と「わいわい」で、児童生徒の支援を進めてまいります。

 小学校を優先して進めてきた少人数学級は、国や県により小学6年生及び中学1年生まで拡大されることから、市独自で中学校へ非常勤講師5名を増やして12名配置し、小中学校全ての学年で少人数学級を実施してまいります。
 小学校高学年での教科担任制を進めるため、対応教員を引き続き3名を配置し、身体の障害や学習に困難を抱える児童生徒の学びを保障するため、介助員2名を追加して13名配置します。
 また、中学校の部活動は、持続可能な部活動の実施及び地域移行に向け、学校と地域の連携に取り組みます。

 スポーツを通じたまちづくりを推進するため、スポーツコミッション事業を積極的に展開します。
 プロバスケットボールや少年野球、トレイルランニングレースなどの大会の継続的な開催に加えて、新たな大会誘致に積極的に取り組み、スポーツによる市民交流と地域の活性化を推進します。

 文化振興については、市民文化会館を、文化芸術を創造する拠点と位置づけます。そこから、市民の多様な芸術文化活動の場として活用いただくとともに、市民ニーズを捉え、質の高い芸術文化に触れるイベントを開催するなど、文化創造の機運を高める事業を展開してまいります。
 市民文化会館と南部公民館は、令和7年度に予定している大規模改修の実施設計を行い、利用者の安全性を高め、より使いやすい施設として整備を進めます。

 犬山市文化財保存活用地域計画事業については、令和5年度に名古屋経済大学と共同で立ち上げた『犬山歴史文化ぷらっとフォーム』の取り組みを通じ、市内文化財の保存活用について市内団体間での連携や情報共有を図り、互いに補完しあう新たな関係を作ります。

 民俗文化財の分野では、引き続き、犬山祭の車山行事の伝承保存事業や、各地域で守り伝えられてきた伝統行事の継承と保護のための民俗文化財保存伝承事業を実施します。また、昨年、愛知県無形民俗文化財に指定された石上げ祭については、市民総合大学の講座などを通して普及啓発を図ります。

 天然記念物ヒトツバタゴ自生地については、将来的な保存管理と活用のあり方を定める『犬山市天然記念物ヒトツバタゴ自生地保存活用計画』を令和6年度中に策定し、令和7年度の文化庁認定を目指します。

 犬山城については、大手門枡形跡である福祉会館跡地を含む史跡全体の『犬山城整備基本計画』を令和6年度中に策定するとともに、福祉会館跡地の整備方針をまとめます。併せて地域の集会機能の充実のため、中本町まちづくり拠点施設の2階スペースを改修し、30人程度での集会が可能な地域住民活用スペースを整備します。
 また、防災対策については、天守だけでなく史跡を含め、設備面と運用面の両面から検討したうえで、『犬山城防災対策計画』を策定します。

 小牧・長久手の戦いについては、市民総合大学において専門家による連続講座を開催します。また、学芸員同士の交流など同盟市町間の連携を深め、「真の天下分け目の一戦」を市内外に示します。

 犬山城を含む「近世城郭の天守群」の世界遺産登録については、関係市と連携し、国の暫定一覧表への記載に向けた取り組みを積極的に進めます。
 また、令和5年度に設立した、子どもたちによる「犬山城みらいサポーター」の活動を中心に、情報発信と市民参加を促進し、登録に対する機運の醸成を図ります。

消防

 最後に「消防」です。
 複雑多様化する災害から市民の安心・安全を守るため、消防ポンプ自動車の更新等、装備の充実を図ってまいります。

 消防団活動では、新たな取り組みとして、消防団DXアプリケーションを試験導入し、団員活動の軽減を図ってまいります。
 また、消防団員の確保に向けて、継続的に事業所や地域住民の理解促進に努めてまいります。
 消防署では、救急救命士の養成を継続するほか、各種救急講習を開催し、救命率の向上と増加傾向の救急需要に対応してまいります。

 また、令和5年度に消防本部で起きた不祥事に対しましては、消防組織の管理体制を立て直し、市民の信頼回復に努めてまいります。
 

おわりに

 以上、令和6年度の当初予算ならびに、市政に臨むわたしの施策について述べてまいりました。
 その実現のため、わたしは、犬山市と7万2,000人市民みなさん、1,200人職員みなさんに365日、24時間向き合って、「先憂後楽」でリーダーシップが発揮できるよう全力を尽くします。それにより、市民みなさんから「犬山市の職員は、頑張っている」と感じてもらえる、言ってもらえるようにしたいし、そこから職員みなさんが「また頑張ろう」と思える市役所づくりにつなげていきたい。だから、職員みなさんには、ピカピカに輝いて欲しいです。みなさんが輝いていなきゃ、犬山は輝けないから。そこで、みなさんが輝けるための出番と居場所を管理職みなさんと考えていきます。また、輝くためには、輝くための力も必要となります。自分で考えて、自分から行動できる力です。その力を発揮するため、頑張るみなさんを全力応援していきます。その職員みなさんの頑張りから、市民みなさんの出番と居場所づくりにつなげていきたいんです。市民みなさんが主役となる舞台づくりが、わたしたち市役所の仕事です。その舞台で輝いている市民みなさんがいたら、その舞台をつくったのは自分だとガッツポーズをしてもらいたい。

 簡単じゃないけど、そんな思いで市政に臨んでいきます。市民みなさんと職員みなさんが輝けるよう、わたしは、何事も真面目に丁寧に正直に取り組み、これまでの前例や慣例、当たり前のルールに振り回されることなく、ルールは、「守るものから、変えるもの」との考えで、犬山市の未来のため、犬山市民みなさんのための政策実現の努力を重ねます。

 議員各位はじめ、市民みなさんのご理解ご協力をお願い申し上げ、わたしの施政方針とさせていただきます。

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経営部 企画広報課 秘書担当
電話:0568-44-0310 犬山市役所 本庁舎4階