令和5年度 施政方針

ページ番号1009678  更新日 令和5年2月21日 印刷 

はじめに

 今議会に提出いたしました令和5年度当初予算をはじめ、諸議案のご審議をお願いするにあたり、所信の一端を申し述べさせていただきます。議員各位ならびに市民皆さんのご理解とご協力をよろしくお願いします。

 社会情勢の変化が速い時代だからこそ、改めて犬山が!地方が!強くならなければならないのだと思っています。それは、どこにでもある金太郎アメのようなまちではありません。犬山にしかできない新しいまちづくりです。他にはマネのできない地域づくりを考えていかなければならないのです。
 犬山には、その潜在力も可能性もあります。なぜなら歴史的自然的地域資源と人財、交通アクセスに恵まれているからです。だから、人が離れていく遠心力から、人を引き付ける求心力のある犬山づくりによって、犬山はもっと成長し、犬山はさらに輝くのだと思っています。

 それには、慣例や前例にとらわれず、知恵と工夫、スピード感を持って適正な判断と実行で、夢と希望の持てる市政運営が求められます。
 そして、市民皆さんの生活を守るために、犬山市役所がより一層頼れるところだと感じてもらえるよう職員とともに、市民皆さんに寄り添って対応をしていかなければなりません。

 その意識を強く持ちながら、子どもへの未来の投資と子どもの成長を支える教育、みんなで支えあう高齢者と福祉、皆さんに寄り添う市役所づくりで、あたたかい犬山を目指し、施策の展開を図っていきます。また、犬山市にある7つの鉄道駅と地域を結んで新しい犬山づくりと地域の活性化、新たな財源の確保につなげていきます。
 こうした子どもや高齢者、皆さんが社会と向き合える「やさしい」犬山で、皆さんが「げんき」になって、その結果、人口減に歯止めがかかり、子どもが増え、働き世代が移住定住し、企業が誘致でき、地域経済が活性化する。そして誰もが住みやすくなる。そんな求心力があって、皆さんが真ん中にいるやさしくげんきなあたたかい犬山を創出していきます。

令和5年度当初予算について

 こうした点から、令和5年度当初予算について、その全体像をお示しした上で、主要施策について、部局ごとにご説明申し上げます。ただし、令和5年度当初予算は、市長就任から時間が限られていたことから、予算が積み上げられていた中での予算編成とさせていただきましたが、これからの展開も見据えつつ、補正予算などで積極的に原カラーを見せていきたいと考えています。

 令和5年度当初予算の規模につきましては、一般会計では、281億7,568万6千円となり、対前年度比では6.7%、17億6,197万8千円の増額、特別会計と企業会計を合わせた全会計の総額では、484億4,437万6千円となり、対前年度比では4.2%、19億6,222万6千円の増額で、当初予算としましては過去最大の予算規模となりました。
 一般会計のうち歳入につきまして、まず、市税では、令和4年度からの増収を見込み、個人市民税は、1億7,779万9千円の増額となる42億1,776万円、法人市民税は、1億2,168万2千円の増額となる9億236万5千円、その他諸税を合わせた市税全体では、4億2,468万9千円の増額となる118億1,414万1千円を計上しました。
 次に、地方消費税交付金につきましては、原資となる地方消費税の増額が想定されていることから、令和4年度と比べ、1億1,016万9千円の増額となる18億7,031万5千円を計上し、地方交付税におきましても、原資となる国税で増収が想定されていることなどを受け、令和4年度と比べ、1億8,897万円の増額となる17億8,301万5千円を計上しました。
 また、財源確保の面としまして、ふるさと納税です。本格的な取り組みから、工夫と不断の努力の積み重ねにより毎年着実に増加させてきました。令和4年度には、寄附金では、これまで目標としてきた10億円の獲得を達成することができる見込みとなりました。これに満足することなく、さらなる獲得を目指し、令和4年度と比べ、1億円の増額となる11億円を計上しました。
 一方、市債では、市税や地方交付税等の増額に伴い、臨時財政対策債で、令和4年度に比べ3億6,095万4千円の減額となる2億8,795万2千円を見込みました。事業債の活用にあたっては、財政規律を重視し、市債全体としては、犬山南小学校整備事業債7億2,660万円を計上していながらも、令和4年度に比べ1億5,914万6千円の増加となる12億9,425万2千円に抑えています。
 歳出につきましては、予算科目の款別で金額の大きな順に申し上げます。社会保障費が多く含まれる民生費が102億3,490万5千円で全体の36.3%を占めます。次いで犬山南小学校の整備費が含まれる教育費が42億6,294万3千円、11億円のふるさと納税の基金への積立金が含まれる総務費が42億1,115万9千円と続いています。
 なお、歳入と歳出の乖離である財源不足分につきましては、財政調整基金からの繰入金により補塡しました。補填後の基金の残高は、約19億3千万円を確保しています。
引き続いての先の見えない社会情勢にあっても、幸いにも現時点における市税収は堅調に推移する見込みです。しかし、今後の財政需要はもとより、突発的な自然災害に備えるなど、市債残高の減少や基金残高の確保を意識しながら、長期的に安定した財政運営を持続させるために、実施すべき事業を見極めました。

主要政策について

これ以降は、主要施策を部局ごとに申し上げます。

経営部

 はじめに「経営部」です。
 令和5年度から新たにはじまる、第6次犬山市総合計画の「まちの将来像」を実現するため、「市民の暮らしの豊かさの向上のために」を考え方の基本に、持続可能なまちづくりを進めます。
 当市への移住定住を促進するため、住むまちとしての魅力を伝えるシティプロモーションについて、若者世代への情報発信を強化します。さらに、移住定住相談窓口を設置し、ワンストップで相談に対応できる体制を整備します。

 市民への広報が変わります。広報紙の発行回数を月1回に切り替え、民間業者による全戸配達を行います。それに伴いSNSや動画などをさらに活用し、効果的な情報提供を行っていきます。また、市民の皆さんの生の声をお聞きし、施策に反映させるため、市長と市民の意見交換の場を拡充してまいります。

 整備計画に基づき全庁的に進めている公共施設や公衆トイレの洋式化について、令和5年度は不老公園等4施設を改修します。

 利便性の高い市民サービスの提供や効果的・効率的な行政運営を行うため、ICT等の最新技術の研究・導入を進めてまいります。
 現在計画的に進めている手続きのオンライン化については、令和5年度も積極的に推進し、80手続きを追加します。また、各種相談やイベントの申し込みなどをオンラインで予約するシステムを新たに導入し、手続き手法を拡大することで、市民の利便性向上や事務の効率化を図ってまいります。

市民部

 次に「市民部」です。
 市民活動・地域活動の支援については、つながる拠点である協働プラザを中心に、地域活動の担い手の育成や地域の課題解決に向けた事業の充実を図ってまいります。
 楽田ふれあいセンターは、令和5年6月頃にリニューアルし、楽田地区の地域活動の拠点として一層の利用促進を図るとともに、令和5年7月から楽田出張所をセンター内に移転し、運用を開始する予定です。
 また、羽黒地区における新たな地域活動の拠点として、南部公民館のレストラン跡を整備するよう、地域の方々と将来の活用方法等を話し合いながら取り組んでいきます。

 みんなで支えあう社会の実現には、市内に在住している外国人市民の力も欠かせません。
 令和5年度は、現状を把握するための実態調査を行い、外国人市民が具体的に必要とする支援などの整理を行い、多文化共生の取り組みに活かしていきます。

 防災については、令和5年度の総合防災訓練を城東中学校で実施します。市民を中心とした実践的な訓練を行うことで、地域防災力の向上を図ってまいります。
 また、災害時に備え、ペットとの同室避難や福祉避難所の開設訓練を繰り返しながら、避難所運営の改善に努めてまいります。

 公共交通については、令和4年度に実施をしたデマンド交通の実証実験の検証結果などを反映させ、まちづくりと連携した面的な公共交通ネットワークの構築を目指していきます。
 わん丸君バスは、地域や市民の皆様からの要望や意見を踏まえ、令和5年12月の見直しに向け準備を進めます。その中で、栗栖地区、今井地区、池野地区の中学生が、それぞれの中学校まで通学に利用できるよう調整を図ってまいります。
 防犯対策では、引き続き防犯カメラを計画的に増設し、安全で安心なまちづくりの推進に努めていきます。

健康福祉部

 次に「健康福祉部」です。
 複雑化する地域生活課題に対応するため、重層的支援体制整備事業計画に基づき、ふくし総合相談窓口を中心とした世代や属性を超えた支援体制の構築を進めます。
 手話言語など障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進を図る条例の制定に向け、団体等へのヒアリングを実施します。

 高齢者の保健福祉施策の推進を図る基本指針として、令和5年度に「第9次介護保険事業計画」及び「第10次高齢者福祉計画」の策定を行います。
 認知症対策については、認知症の方が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる社会の実現のため、認知症サポーターの参画を推進します。
 地域で育つ子どもたちが正しい知識と理解を持って、自分でできる範囲で認知症の方やその家族を応援できるキッズサポーターを育成します。また、すでに認知症サポーター養成講座を受講した方に、実践の場で必要となる認知症に関する知識や必要に応じて手助けをするための対応スキルが修得できる「認知症サポーターステップアップ講座」を開催し、既存の認知症サポーターの掘り起こしを進めます。
 加えて、認知症の方やその家族を支える体制を整え、市内各地区のチームオレンジの立ち上げや取り組みを支援するために、各地区高齢者あんしん相談センター職員に認知症地域支援推進員の有資格者を増やします。
認知症診断の無償化について、調査・研究を進めてまいります。
 高齢者の元気に働くことを通じた生きがいづくりのため、シルバー人材センター会員の配分金を改善できるよう、市委託料の増額を行います。

 国民健康保険では、医療費にかかる県納付金に対応するため、保険税率を引き上げます。
 また、子育て世帯の負担軽減を図るため、国の決定に基づき、出産育児一時金を増額し、妊婦の産前産後期間4か月分の国保税の均等割・所得割分の免除を実施します。

 医療・保健の分野では、高齢者の虚弱状態であるフレイル状態を早期発見し、要介護状態にならずに健康寿命を延ばすための取り組みを進めます。
 具体的には、60歳と70歳の方への成人歯科健診に口腔機能のチェックを追加するとともに、75歳のフレイル口腔検診を新たに開始します。
 また、目のフレイル状態の早期発見のため、市独自の緑内障検診の継続実施に加え、新たに65歳と75歳を対象にアイフレイル検診を実施します。
 深刻な後遺症を残す可能性のある帯状疱疹の発症予防については、新たに予防接種を受けた方への助成制度を創設します。
 母子保健分野では、保健センター内、子育て世代包括支援センターで令和5年2月から開始した出産・子育て応援交付金事業に合わせ、妊娠期から出産、子育てに寄り添う支援を充実し、産後ケア事業の助産師による自宅への訪問支援を開始します。
 

都市整備部

 次に「都市整備部」です。
 「安心で快適な暮らしを支え、多様な『住まい方』『働き方』を実現する人中心の都市づくり」を基本理念とした、新しい都市計画マスタープランの策定と並行して進めてきた立地適正化計画については、令和5年度末に策定を完了します。
 これまで市民交流センター整備や犬山駅西広場整備、彩雲橋トイレ整備などの事業を5か年で進めてきた、都市再生整備計画は、令和5年度が最終年度となります。そのため、令和6年度からの新たな5か年計画の策定に着手します。

 新たな幹線道路による東西軸の確保に向けた事業として、「蝉屋長塚線」について、基本設計に着手します。
 また、「楽田桃花台線」については、早期に事業効果が発現できる現在の道路用地巾による拡幅工事に着手します。
 都市基盤の未整備な市街地対策として、五郎丸西地区の暫定用途解除区域の排水路整備に向けた用地買収を進めるとともに、橋爪五郎丸地区計画内の道路の整備や狭あい道路の改善については、引き続き取り組んでまいります。
 ゲリラ豪雨等による冠水対策では、羽黒新田・楽田西地区の工業団地周辺の五ヶ村排水区について、令和5年度の完了を目指し調整池の整備を進めてまいります。
 また、愛知県が実施する砂防事業の進捗に併せて、池野富士地区の大門沢排水路の整備に着手します。

 市道の維持補修については、令和3年度から着手している市道犬山公園小牧線の舗装改修計画を、残り8年間から4年間に短縮するため、予算を倍以上に増額し、早期の改修工事完了を目指します。
 また、通学路の安全対策として、「犬山市通学路交通安全プログラム」の方針に基づく安全対策工事について、令和4年度に、令和7年度までの予定工事を実施しています。また、新たな実施計画による事業を令和5年度以降も進め、これまで以上に、小・中学校に通う生徒たちの安全確保が図れるように取り組んでまいります。

 企業会計である水道事業及び下水道事業については、持続可能な水道・下水道を目標に、市民に安心・安全なサービスを提供できるよう、将来に向けて積極的な設備投資を進めていく方針としています。
 その基本方針に基づき、水道事業については、全浄水場・配水池等の給配水状況をリアルタイムで把握するための遠方監視システム更新工事や、毎年の様に国内のどこかで発生している大規模地震に備え、水道施設の耐震化工事を引き続き実施し、安定した水の供給を目指します。

 下水道事業については、計画的に市街化区域及び前原台団地の管きょ整備を進めます。また、既存下水道施設の適正な維持管理を行い、不明水の削減を図る方針としています。
 これを踏まえ、令和5年度は、五条川右岸処理区の犬山西古券地区11.8haの整備を進めていきます。
 五条川左岸処理区については、前原台団地内の整備を引き続き進め、令和9年度末での供用開始に向けて着実に進めていきます。
 

経済環境部

 次に「経済環境部」です。
 環境施策については、2050年カーボンニュートラル実現に向けた、計画的かつ総合的な取り組みを加速させます。
 そのため、まずは、市が率先して取り組みを行うため、市役所の事務及び事業に関する行動計画である「地球温暖化対策実行計画」を全面的に改訂し、令和6年度からの本格実施につなげます。
 計画の具体的な内容としては、「LED化」や、施設の新設や建て替えに合わせた「ZEBの実現」とともに、公共施設への「太陽光発電の最大限の導入」を予定するため、計画の改訂前には設備導入の可能性を調査します。
 また、引き続き、市民の積極的な取り組みを後押しするため、既存住宅の断熱改修や、高効率給湯器の取替に対する補助を継続します。また、個人住宅用への地球温暖化対策設備の設置、燃料電池自動車や電気自動車の購入への補助を行います。
 そのほか、都市美化センター建設の地元補償事業として、整備予定の2つの広場実現に向け、着実に取り組みを進めてまいります。
 城東地区については、全ての用地の取得が完了次第、整備工事に着手します。善師野地区については、令和4年度に整備場所を確定し、覚書を再締結したことから、予定地である善師野公民館西側の土地の測量を行います。
 2市2町で構成する尾張北部環境組合で進めている広域の新ごみ処理施設の建設については、構成自治体として適切な事業推進が図られるよう取り組みを進めてまいります。

 産業振興においては、様々な施策を積極的に推進してまいります。
 地域経済対策について、事業者ごとに異なる経営課題に個別に対応していくため、現在実施している専門家による事業継続支援事業を、引き続き実施してまいります。
 働く場所を創出するため、産業集積誘導エリアを拡大し、企業誘致に向けた取り組みを進めます。
 沿道の賑わいによる活性化を促進するため、商業集積ラインについてもエリアを拡大し、民間事業者と連携し商業立地促進を図ります。
 一方、市内にある企業の事業拡大の支援も行います。
 愛知労働局と締結した「雇用対策協定」に基づき、地域の雇用確保に取り組むとともに、合同企業説明会を開催いたします。
 消費者行政につきましては、犬山市消費生活センターを拠点として、相談体制の充実・強化に取り組んでまいります。
 農業施策においては、令和5年度も引き続き、農産物のさらなるブランド化や新規就農者の掘り起こし、農産物等付加価値向上補助金による6次化支援、耕作放棄地対策、イノシシ対策など、犬山の農業を守るため、農業振興を総合的に進めてまいります。
 中でも、農産物のブランド化については、犬山を代表する特産物である「犬山の桃」を始め、「じねんじょ夢とろろ」、シルバー人材センターのミニトマト(おいしい花子)など、関係団体や農業関係者と協働しながらPR活動を促進してまいります。

 観光施策については「犬山市観光戦略」に基づき、持続可能な観光まちづくりを目指し、実践と検証を進めます。
 市民生活と観光客との共存と調和に向けて、城下町地区住民と行政との対話を令和5年度も引き続き開催し、事業者やまちづくり団体等の参画も促しながら、共存の為のルール作りと観光振興によって地域が潤う仕組みづくりを目指します。
 また、城下町地区を中心に、安全確保と円滑な交通誘導のため警備体制を強化します。
 木曽川の河川空間を活かしたまちづくりについては、河畔の遊歩道を始めとした河川空間全体の魅力を高めるための整備の在り方について引き続き検討を行うとともに、地域の皆さまと一緒になって利活用の可能性を探る実証事業を行ってまいります。
 花火大会は、8月1日から10日までの間にロングラン花火として内容を工夫して実施します。併せて「宵のいぬやマルシェ」を開催し、木曽川河畔での夜の賑わいづくりに努めます。
 木曽川うかい事業については、木曽川観光株式会社と連携し伝統漁法の保存継承と、当市の主要な観光コンテンツとして更なる磨き上げを図ります。
 栗栖地区では、令和4年度に続いて栗栖園地の拡大整備を進め、アウトドア空間としての利便性や魅力を高めます。
 また、名古屋鉄道株式会社と連携し、通年での観光プロモーションを展開します。効果的な宣伝や広報により、犬山観光のブランド力強化を図ります。
 魅力ある観光地づくりには、多様な観光コンテンツの造成は欠かせません。犬山市観光協会と連携し、市民が担い手となって観光客に提供する体験型観光メニューの造成支援や、市と観光協会が自ら新たなコンテンツを開発するなど、様々な事業者とも連携して積極的に取り組んでまいります。
 

教育部

 次に「教育部」です。
 新たな子育て支援策として、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、給食費の無料化を進めてまいります。まずは、進学準備で費用がかさむ小学6年生と中学3年生を対象に、令和5年9月から開始し、その後、段階的な拡大を目指してまいります。
 読解力の向上を図るため、「正しく読む」「豊かに読む」力を高めるよう、引き続き各校の授業改善や、読書量増加に向けて取り組みを進めてまいります。
 GIGAスクール構想の推進については、情報機器の活用により、わかりやすく楽しい授業づくりができているかどうか、PDCAサイクルを確立し、内容の検証と改善を進めるよう支援していきます。
 次に、大規模改修事業を進めている犬山南小学校は、令和7年度の完了を目指し、令和5年度は、北舎の新校舎建設工事を進め、令和6年2月に新校舎の供用を開始する予定です。また、南舎長寿命化改良工事に向け実施設計業務を進めてまいります。
 犬山南小学校の次に整備を予定している城東小学校と城東中学校は、現況の校舎や体育館の耐力度調査の結果に基づき、どう整備を進めていくか、基本構想に着手してまいります。
 小中学校施設の長寿命化計画に基づき、東小学校の非構造部材の改修を行い、犬山西小学校や犬山中学校の屋上防水工事をはじめ、教育環境に支障をきたす設備などの改修工事を行い、教育環境の保全に努めます。
また、小中学校のエアコンは、普通教室への設置が完了したことから、理科室や美術室などの特別教室の設置に向けた設計業務を令和5年度に行い、令和6年度の設置を予定しています。その後は、中学校の体育館への設置を進めてまいります。
 小学校を優先して進めてきた少人数学級は、国や県の対象学年が5年生まで拡大されることから、人員配置の見直しがさらに可能となりますので、中学校へ非常勤講師を3名追加し、小中全ての学年で少人数学級を実施してまいります。
 さらに新たに教科担任制対応教員を3名配置し、小学校高学年での教科担任制を導入してまいります。身体の障害や学習に困難を抱える児童生徒の学びを保障するため、特別支援教育支援員3名を加配します。
また、中学校の部活動は、持続可能な部活動の実施に向け、学校と地域の連携に取り組みます。

 第3期子ども・子育て支援事業計画策定にあたり、令和5年度は、就学前児童や小学生児童の保護者を対象に、子育てに関するニーズ、子育て支援サービスの利用状況、利用意向、子育て世帯の生活実態、要望等を把握するため、アンケート調査を実施します。
 併せて、小・中・高校生を対象に、本来、大人が担うべき、家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども、いわゆる「ヤングケアラー」の実態調査を行い、課題の洗い出しをします。
 新橋爪・五郎丸子ども未来園整備事業は、令和7年4月開園に向け、令和5年度の造成工事に続き、令和6年度にかけて建設工事に着手します。
 新羽黒保育園整備事業では、公募型プロポーザル方式により優先交渉権者を決定し、事業者と覚書を締結します。今後は、建設場所の旧市民プールを解体し、事業者との整備・運営に向けた協議や事業者による建設工事が行われ、令和8年4月の開園を目指します。
 現在の子ども未来園の抱える課題として、建築当初の3歳以上児を対象とした環境整備が、3歳未満児の保育ニーズの増加により時代に合わなくなり、3歳未満児の環境整備が不十分となっています。この課題解決のため、令和5年度に未満児対応用の室内遊具を設置し、床暖房など保育室の改修や、トイレの段差解消、床材の変更などを、令和7年度にかけて集中的に実施してまいります。
 病児保育事業については、社会医療法人志聖会 総合犬山中央病院に事業受託いただくこととなり、令和5年度に、病院敷地内で施設整備を行っていただき、令和6年度事業開始に向け、具体的な委託内容について協議してまいります。
 日常生活において医療を必要とする児童、いわゆる「医療的ケア児」を、市内子ども未来園で受け入れるため、備品購入や専属の看護師を委託で対応します。
 屋内型キッズスペースの整備については、先進地事例を参考に、施設の規模や機能などを検討していきます。

 市民総合大学については、新たに若者世代を対象とした講座の展開に加え、幅広い世代の市民が、講座を通じ郷土に誇りと愛着を持てるよう、魅力ある講座を実施します。
 また、次世代を担う子どもたちの生きる力を育むため、豊かな自然や、日本の伝統文化にふれる講座を展開している「子ども大学」では、新たにスポーツを学ぶ講座を開設し、座学だけではなく実際に体を動かして学ぶ喜びを体験する講座を充実します。
 市民文化会館については、「市民展」や「市民芸能祭」など市民参加型の行事の展開に加え、大ホールの舞台貸しや音楽演奏会、楽団の練習など「もっと身近に」をコンセプトに、市民が文化に親しみを持って、より利活用いただける施設として展開します。
 また、南部公民館展示室をはじめ、市内の施設において作品展示が可能なスペースの情報を発信することで、作品発表の場と鑑賞する機会を創出し、市民が文化に触れる機会の充実に努めます。
 市立図書館では、令和4年度に着手した図書館のICT化を計画的に推進するため、図書の貸出しや返却についてセルフ化の本格的な稼働や視聴覚コーナーの改修を進めます。
 「いぬやまスポーツコミッション」につきましては、犬山の地域資源を活かして、地域に根ざしたスポーツ活動に対して積極的に支援を行うことにより地域の活性化につなげ、スポーツによるひとづくり、まちづくりを進めてまいります。

 城山整備の一環として、針綱神社社務所北側付近にあった黒門の復元については、令和4年度の調査結果を踏まえ、建物位置の特定のための調査を継続します。
 防災対策については、犬山城全体の恒久的な保存を図るため、天守だけでなく史跡を含め、設備面と運用面の両面から検討したうえで、「犬山城防災対策計画」を策定します。
 NHK大河ドラマ「どうする家康」に関連して注目度が上昇する小牧・長久手の戦いについては、令和3年11月に締結した「小牧・長久手の戦い同盟」の加盟自治体との連携を深めます。また、市独自の事業として、市内のゆかりの地を巡り「合戦印」を集める「合戦印ラリー」を実施し、さらに、令和4年度に開講した市民総合大学での講座「小牧・長久手の戦いと犬山」の講演録を発刊します。
 

消防

 最後に「消防」です。
 複雑多様化する災害から市民の安心安全を守るため、救助工作車の更新等、装備の充実を図ってまいります。
 また、令和5年7月には、新しい消防団第5分団車庫の運用を開始いたします。
 消防団活動では、団員の確保に向けて、事業所や地域住民の理解促進に努めてまいります。
 次に住宅火災予防として、住宅用火災警報器の設置や機器の取換えを促進し、住宅火災による死傷事故の防止と防火意識の高揚を図ってまいります。
 消防署では、年々増加する救急件数に対応するため、救急救命士の養成や現場活動時間の短縮に努めてまいります。
 また、小中学校の生徒を対象にしたジュニア救命講習を開催し、命の大切さや救命法の重要性を幼少期から根付かせる取り組みを行います。
 

おわりに

 以上、令和5年度の当初予算ならびに市政に臨む私の施策について述べてまいりました。
 私は、「先憂後楽」を意識してきました。私の中の先憂後楽は、先に嫌なことをやって、後で楽しむという言葉ではありません。先に行く人は憂い行動し、後に行く人がより心地よく続いていけるようにしていこうというリーダー論を意味するものです。「先憂後楽」を腹に据え、個人の損得ではなく、犬山の未来のために力の限りを尽くします。
 そのために、何事も諦めず、遠ざけず、知らないふりをしません。正直に、真面目に、丁寧に向き合っていきます。そして、勇気を持って一歩を踏み出す挑戦を忘れません。また、政策実現という想いを形に変えるためには、議会と市民皆さんとの議論や対話は不可欠であり、そのプロセスを大切にしていきます。特に犬山市議会の皆さんは、市民のための議会改革を実践され、積極的な議員提案を重ねるなど、これからのあるべき議会の姿勢を示す議会活動の先進的存在です。そのような市議会皆さんと切磋琢磨・協力しつつ、犬山市の未来のため、犬山市民皆さんのための政策実現の努力を重ねます。

 就任から2か月が経過して、1期目の原市政が始まります。市民の皆さんが真ん中にいる「やさしく」「げんきな」まちで、ずっとずっと犬山に住みたい、これから犬山に住みたいと思ってもらえる犬山づくりのため、市民皆さんに寄り添い、近い存在で、信頼できる市長でいられるよう徹底して全力を尽くしていきます。議員各位はじめ、市民皆さんのご理解ご協力をお願い申し上げ、私の施政方針とさせていただきます。
 

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経営部 企画広報課 秘書担当
電話:0568-44-0310 犬山市役所 本庁舎4階