令和4年度施政方針
ページ番号1008572 更新日 令和4年2月25日 印刷
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はじめに
日頃から市政運営に対してご理解ご協力いただきありがとうございます。これより令和4年度の市政運営に関する私の所信を述べさせていただきます。市民や議員の皆様には、ご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
まずは新型コロナウイルスへの対応ですが、国・県・医療などの関係機関との連携や、希望者へのワクチン接種を手際よく進めながら、市としても最善を尽くします。その上で、令和4年度の施策展開としては、(1)子育て支援の強化、(2)環境対策の強化、(3)道路整備の促進、(4)賢い都市経営の推進を柱に、その他の諸施策もあわせて、市民の皆様の豊かさの実感と、犬山の未来につながるよう、積極的に取り組んでいきます。
令和4年度当初予算については、市民サービス向上や課題解決などを大胆に進めつつ、借金は約7億5千万円減少、貯金は約7億2千万円増加させ、都市経営の持続性の向上を意識した「発展持続型予算」として編成いたしました。そこで、まず令和4年度当初予算の全体像を申し上げた上で、主要施策を部局ごとに説明いたします。
令和4年度当初予算について
令和4年度当初予算の規模につきましては、一般会計では、264億1,370万8千円となり、対前年度比では4.2%、10億7,002万1千円の増額、特別会計と企業会計を合わせた全会計の総額では、464億8,215万円となり、対前年度比では4.7%、20億7,427万4千円の増額となりました。
一般会計のうち歳入につきまして、まず、市税では、新型コロナウイルス感染症の影響を最大限に見込んだ令和3年度と比較して大幅な増収を見込み、個人市民税は、3億9,600万5千円の増額となる40億3,996万1千円、法人市民税は、2億9,610万7千円の増額となる7億8,068万3千円、その他諸税を合わせた市税全体では、9億852万4千円の増額となる113億8,945万2千円を計上しました。
次に、地方消費税交付金につきましては、原資となる地方消費税の増額が想定されていることから、令和3年度と比べ、1億3,696万円の増額となる17億6,014万6千円を計上し、地方交付税におきましても、原資となる国税で大幅な増収が想定されていることなどを受け、令和3年度から3億3,521万2千円の増額となる15億9,404万5千円を計上しました。
また、財産収入で、公有財産の売却など、令和3年度から8,990万2千円の増額となる2億5,907万9千円を計上したほか、寄附金では、ふるさと納税の令和3年度決算見込みからの増額を目指し、10億631万円を計上しました。
一方、市債では、臨時財政対策債で、令和3年度に比べ9億7,370万3千円の減額となる6億4,890万6千円を見込んだほか、事業債の活用にあたっては、財政規律を重視し、市債全体としては、令和3年度から12億8,440万3千円の減額となる11億3,510万6千円に抑えました。これにより、市債残高見込は約196億2千万円となり、令和3年度末に比べ約7億5千万円を減少させることができました。
歳出につきましては、民生費が97億2,405万2千円で全体の36.8%を占め、次いで総務費が42億2,985万2千円、教育費が32億1,888万6千円と続いています。
歳入と歳出の乖離である財源不足分につきましては、財政調整基金からの繰入金により補塡しましたが、その残高は約19億3,000万円を確保し、令和3年の同時期と比べ、基金を約7億1,800万円増やすことができました。
主要施策について
これ以降は、主要施策を申し上げます。
新型コロナウイルス感染症対策
まず、「新型コロナウイルス感染症対策」です。
対策の根幹となる新型コロナウイルスワクチンの接種については、希望する市民が、できるだけ早期に安心して接種していただけるよう、接種体制の確保に全力で取り組んでまいります。
長期に及ぶコロナ禍で影響を受ける市民や地域の事業者に対しては、国の地方創生臨時交付金を活用し、全市民購入可能のプレミアム率100%のプレミアム商品券事業を実施し、幅広い市民の生活支援と地域経済を応援する取り組みを進めます。また、生活困窮者対策につきましては、令和3年度からの継続事業ではありますが、住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金を、確実かつ迅速に支給できるよう実施してまいります。
経営部
次に「経営部」です。
まちの将来像や土地利用の基本的な方向性を示す新たな総合計画の策定については、令和4年度中に完成させます。
動画も含めた市の広報については、専門人材の雇用や活用により、質の向上と発信力の強化を図り、公式LINEについても、単なる情報共有だけでなく、市民参加のツールとしても、活用を充実させます。
財源確保の取り組みとして、ふるさと納税について、寄附金10億円の獲得に努め、観光での電子感謝券や企業版ふるさと納税など、新たな取り組みにも挑戦していきます。
また、ファシリティマネジメントの一環として、公有財産の売却では、天神汚水処理場跡地、犬山西公民館跡地、市役所分庁舎跡地、市民文化会館東側駐車場などを売却いたします。
一方、市役所本庁舎周辺の住宅環境が変化してきていることから、市役所機能や敷地のあり方について、ファシリティマネジメントの観点から将来構想を検討していきます。
経費削減の取り組みについては、公民連携による民間ノウハウの活用として、成果連動型民間委託事業を導入し、市役所本庁舎や市民交流センターなど5施設の効率的な管理を進め、令和5年度以降の、年間約1,700万円の経費削減を目指します。
市民サービス革命の推進として、現在計画的に進めている手続きのオンライン化については、令和4年度は国が作成を指示する保育施設の利用申し込みなどの27手続きに加え、市独自に80手続きを追加し、さらに市主催行事などイベントの申し込みについてもオンライン化を図ります。
キャッシュレス化については、市役所窓口で販売する指定ごみ袋や粗大ごみ処理券、イベントの参加料などへ拡大いたします。
市民へ通知する各種文書については、昨年作成した「市民に伝わる文書作成の手引き」を活用し、誰もが理解できる文書となるよう意識と実務の改善を定着させてまいります。
また、各種市民相談のうちの一部で、これまでの原則平日昼間のみを改め、お客様の都合を考慮した時間、曜日設定を行うことや、新たに税理士による相談事業の拡充を図ります。
加えて、障害などを抱えた様々な立場の方々が、制度利用にあたって不利益とならないよう総点検を行い、制度のバリアフリー化を進めてまいります。
基幹系業務システムについては、令和7年度末の自治体クラウドへの移行及び標準準拠型システムへの移行に向け、計画的に準備を進めてまいります。
また、AI-OCRやRPAなどの情報技術を活用し、令和4年度は口座振替支払申請など5業務を自動化し、業務の効率化と市民サービスの充実を図ります。
市の公共施設のネーミングライツについては対象施設を拡大し新規開拓を目指します。
公共施設や公衆トイレの洋式化は、整備計画に基づき、令和4年度は犬山城城郭内トイレ等2施設を改修します。
市民部
次に「市民部」です。
旧大手門まちづくり拠点施設について、令和4年度の早期に民間事業者からの提案を公募し、城下町の賑わい創出のための活用を進めてまいります。
東ふれあいセンターについては、地域や利用者の声を反映した改修工事を実施し、令和4年度の秋頃には、地域住民のための活動拠点として、リニューアルオープンします。
令和3年6月から実証実験を実施している町内会業務のデジタル化支援については、引き続き参加している7町内会の意見集約を行い、令和5年度からの本格運用に向けて、改善点等を精査していきます。
市民活動支援については、つながる拠点である協働プラザを中心とした事業を引き続き展開していきます。積極的に市内各地域へ出向き、アウトリーチ活動を行うことによって、地域に眠る情報や課題を収集し、地域資源バンクを充実させていくとともに、蓄積された情報をオンラインで活用していくシェアエコサイトの運用も開始します。
市内に居住する外国人市民への対応では、令和4年度にスペイン語の窓口通訳者1名を採用して窓口対応を強化するとともに、ベトナム語、タガログ語などのコミュニティ通訳者の養成、拡充を行います。
また、日本人と外国人の交流の場として「多文化交流フェス」を開催し、多文化共生の理解促進とともに外国人市民を一人もとり残さない支援に努めます。
防災については、令和4年度の総合防災訓練を楽田小学校で実施し、市民を中心とした実践的な訓練を行い、地域防災力の向上を図ってまいります。
また、災害時のペット対策として、飼い主によるペットの適正な飼養を支援するため、犬山動物総合医療センターと災害協定を締結いたします。
公共交通については、まちづくりと連携した面的な公共交通ネットワークの構築を目的とした地域公共交通計画の策定を、令和4年度から着手し、令和5年度の策定を目指します。
わん丸君バスは、令和5年12月の再編に向け、地域の実情に適し、利便性が高まるよう運行ルート・運行時間等の総合的な見直しを進め、令和4年度中に方針決定します。
見直しの過程で、デマンド交通の実証実験を一部の地域で行い、デマンド交通導入の可否を検討します。また、地域の住民や事業所等による移動支援の実施に向け、取り組みを支援していきます。
防犯対策では、安全で安心なまちづくりを推進するため、引き続き防犯カメラを計画的に増設し、メンテナンスを適切に行うためリース方式を新たに導入します。
楽田出張所の楽田ふれあいセンター内への移転改修については、消防団第5分団車庫の建設工事とあわせて、令和4年度中に整備を行います。
マイナンバーカードに関しては、積極的なPRや出張申請受付による申請支援を行い、普及に努めます。
また、国が進めるマイナポイントの付与については、よくわからない、面倒だという方々が機会喪失や不利益とならないよう、情報提供や入力支援を丁寧に進めます。
健康福祉部
次に「健康福祉部」です。
高齢・障害・子ども・生活困窮などの課題に対して、全世代型の包括支援体制(重層的支援体制)に令和5年度から移行できるよう、令和4年度中に準備を進めます。
障害者のタクシー利用助成について、令和4年度より自動車税減免を受けている方にも助成を拡大します。
認知症対策では、認知症本人やその家族の支援ニーズと、認知症サポーターを中心とした支援者をつなぐ仕組み(チームオレンジ)の構築を推進するとともに、より身近なところで認知症の相談ができ、認知症本人が活躍できる拠点を増やしていきます。
子ども医療費については、令和4年度より、高校生相当年齢の自己負担分を、現在の3分の2助成から全額助成に拡大します。
国民健康保険では、愛知県に納める納付金の急増に対応するため、保険税率を引き上げます。
一方、国保加入の未就学児の均等割負担を2分の1減額する施策については、令和4年度より着実に実施してまいります。
医療・保健の分野では、健診事業のさらなる拡充として、成人歯科健診の対象節目年齢に20歳を追加するとともに、口腔機能の衰えを予防する取り組みを強化推進します。
また、産婦健診の補助回数を1回から2回に増やし、不妊治療の助成についてもさらなる拡充を進めていきます。
加えて、子宮頸がん予防対策として、子宮頸がん検診未受診者への自己採取検査を新規で開始するとともに、ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種について、対象者への個別勧奨を進めていきます。
また、株式会社今仙電機製作所と連携し、歩き方に関する新たな講座などを開催します。
一方、市民健康館「さら・さくらの湯」は、令和4年度から温泉水の購入を取りやめ、水道水のみの運用に変更します。
飼い主のいない猫を今以上に増やさない取り組みをする地域猫活動団体への新たな支援として、不妊手術費用が無料になるチケットの配布と、猫の捕獲器の貸し出しを始めます。
都市整備部
次に「都市整備部」です。
都市計画マスタープラン及び緑の基本計画については、令和4年度末に策定を完了いたします。また、関連する立地適正化計画については、令和5年度末を目途に策定を進めます。
都市計画道路の見直しについては、社会情勢の変化に対応するため、長期未整備路線のうち、名古屋犬山線を始めとした4路線の一部区間もしくは全線について、計画を廃止する都市計画決定を行います。
市街化調整区域の既存集落の維持に向けて、鉄道駅周辺などの地域において、家を建てやすくするよう、住宅等の立地条件の緩和制度を導入するため、開発行為の許可の基準に関する条例を改正し、塔野地と富岡の一部区域を対象区域に指定いたします。
また、観光資源の活用のために必要な施設に関し、立地条件の運用基準を見直し、対象区域の面的な拡大及び幹線道路沿線の追加に加え、飲食店など対象となる用途の明確化と、附属施設の立地を可能とする規制緩和を行います。
城下町の景観については、一層の保全と質の向上に向けて景観計画を見直します。
都市計画道路「富岡荒井線」については、令和4年12月末に、上小針交差点までの全線を開通できるよう整備いたします。
また、「楽田桃花台線」については、現道幅員での暫定整備に向けて、詳細設計に着手します。
都市基盤の未整備な市街地対策として、地区計画道路の整備や狭あい道路の改善に、引き続き取り組んでまいります。
ゲリラ豪雨等による冠水対策では、羽黒新田・楽田西地区の工業団地周辺の五ヶ村排水区について、調整池の用地買収を進め、整備に着手します。
また、県の砂防事業の進捗に併せて、池野富士地区の大門洞、大門沢排水路の整備に向けて、詳細設計に着手します。
ため池の防災対策については、防災重点農業用ため池の劣化状況、地震及び豪雨耐性の評価結果に基づき対策工事を実施してまいります。
塔野地前原地区の成田富士入鹿線については、県事業の進捗に併せて、交差する市道塔野地93号線の整備を進めてまいります。
老朽化が進む橋梁について、令和4年度は姥(うば)田(た)橋及び細目(ほそめ)橋の修繕工事を進めます。
また、前原台団地北側の星和橋について、大畔池の堤防を利用した道路へ付け替える工事を引き続き進め、令和4年7月末の供用開始を目指します。
市道の維持補修については、令和2年度から計画的に舗装改修工事を進めるため予算を約3,000万円増額して取り組んできましたが、令和4年度はそこからさらに、計画的な道路側溝改修や道路要望対策工事予算の拡充などで約1,500万円増額し、市民要望に対応してまいります。
通学路の安全対策では、令和3年度予算の約2,000万円に対し、令和4年度は約5,500万円に拡充し、「通学路交通安全プログラム」に基づく令和7年度までの整備計画を前倒して進めます。また、整備にあたっては先進事例を研究し、新たな整備手法も取り入れてまいります。
公園については、空間利用の一環として、市内の一定規模の都市公園等を対象にして、魅力向上に向けたサウンディング型市場調査を実施し、「官民連携による実現性の高いアイデア」、また「事業スキーム」等を把握し、魅力ある公園を創り出す検討を進めてまいります。
企業会計である水道事業及び下水道事業については、持続可能な水道・下水道を目標に、市民の負担を低く抑えつつ、将来に向けて積極的な設備投資を進めていく方針としています。
その基本方針に基づき、水道事業については、老朽化対策に合わせた水道管の耐震化に向け、長者町地区をはじめ市内各所において、布設替工事を積極的かつ継続的に実施してまいります。
浄配水施設については、第2加圧所の耐震化について、令和4年度は詳細設計及び工事を実施いたします。また、遠方監視装置の更新事業を進め、市内各施設の監視体制の更なる強化を図ります。
下水道事業については、市街化区域及び前原台団地の整備を計画的に進め、下水道施設の計画的な維持管理及び不明水の削減を図る方針としています。
これを踏まえ、令和4年度は、五条川右岸処理区の犬山東馬場先・西馬場先地区など5.0haの管きょ整備を進めていきます。
五条川左岸処理区については、楽田番前地区の管きょ整備を引き続き進め、令和4年度末での供用開始を目指します。
前原台団地の整備については、引き続き幹線の整備を進めるとともに、団地内の枝(し)線(せん)管きょ整備にも着手し、令和9年度末の供用開始に向けて、着実に進めてまいります。
不明水対策としては、管きょのカメラ調査を実施し、その結果を踏まえ、管きょ更生工事などを実施し、侵入水の削減に取り組んでいきます。
経済環境部
次に「経済環境部」です。
環境施策について、令和4年度は、公共施設の照明のLED化を順次進めます。
また、市民の省エネへの取り組みを後押しするため、地球温暖化対策設備への補助対象に新たな住宅用設備を加えるとともに、省エネ住宅改修に対する補助事業を新設し、支援を拡充します。あわせて、燃料電池自動車、電気自動車の購入補助制度を新たに設けます。
クールチョイス運動の普及促進や里山の生き物調査など、数多くの環境施策の担い手については、自ら主体的に活動いただく人材や団体、事業者の掘り起しに着手していきます。
ごみ減量施策では、ペットボトルのリサイクルについて、令和4年度からは、回収したペットボトルの全量を再びペットボトルに戻すボトルtoボトルリサイクルを行い、持続可能な循環型社会の実現に努めてまいります。
生ごみの減量については、家庭で発生する生ごみを家庭で処理できる環境にやさしい処理方法を提案します。
食品ロス対策では、令和3年度から実施しているフードドライブに加えて、フードシェアリングアプリを活用し取り組みを推進します。
プラスチックの資源循環を促進するため、プラスチック製品の分別収集、リサイクルについて、分別の基準を策定し、適正な分別排出ができるよう検討を進めます。
都市美化センターの地元補償事業については、令和4年度に城東中学校南側多目的広場整備の詳細設計を進めるなど、事業推進に努めます。また、善師野地区との協定の再締結に向け、調整してまいります。
犬山市、江南市、大口町、扶桑町の2市2町で構成する尾張北部環境組合により、令和10年度の供用開始を目指して進められている広域の新ごみ処理施設建設事業については、建設に必要な用地が確保できたことを踏まえ、組合構成市町として適切な事業推進が図られるよう、積極的に取り組みを進めてまいります。
地域経済対策については、現在実施している専門家による事業継続支援事業、設備投資に対する補助を一本化し、更に事業承継支援の機能を加え、様々なニーズに対応できるよう利便性を高め、支援を充実させてまいります。
一方、産業集積誘導エリアにおいて、引き続き、企業誘致に向けた取り組みを進めます。
同じく「商業集積ライン」へも、立地に向けた動きが活発化しており、民間事業者と連携し商業立地促進を図ります。
また、市内企業の事業拡大の支援を行います。
愛知労働局と締結した「雇用対策協定」に基づき、地域の雇用確保に取り組むとともに、合同企業説明会については、令和4年度も引き続き開催いたします。
消費者行政につきましては、犬山市消費生活センターを拠点として、引き続き、相談体制の充実・強化に取り組んでまいります。
農業施策においては、コロナ禍における農作物の買取り価格の低下や、異常気象などによる収穫量の減少に備え、農業者の経営安定を図るため、収入保険に対する加入支援補助金制度を創設します。
また、新規就農者の掘り起こしや6次化支援、耕作放棄地対策やイノシシ対策など、農業振興を総合的に進めます。
観光施策については、「犬山市観光戦略」を取りまとめましたので、実践に進みます。
市民生活と観光客との調和のため、住民、事業者、まちづくり団体等との対話の機会を設け、共存の為のルール作りと、観光振興によって地域も潤う産業としての成長を目指します。
木曽川の河川空間を活かしたまちづくりについて、内田地区では、彩雲橋公衆トイレの改修とトイレ西側の歩道整備を行います。合わせて、遊歩道の利活用を含め、木曽川河畔の魅力を最大限に引き出すため、将来の整備のあり方を検討しマルシェなどの実証事業を行います。また、栗栖地区では、栗栖園地の拡大整備に着手し、令和7年度の完了を目指します。
木曽川観光株式会社との連携を深め、遊覧船の定期便運航を定着させ、犬山観光の主要コンテンツに成長させます。また、実業家の前澤氏からのふるさと納税寄付を活用して、船頭育成事業を充実させるとともに、市が所有する屋形船「若あゆ丸」の改修を行い、高単価・高付加価値商品の造成を図ります。
犬山駅西口と木曽川河畔に新しく開業した2つのホテルにおいて、市内各所で生産された農作物の使用や、体験型メニューの活用など、地域とホテルが相互に発展できるよう、強力な連携体制を構築します。また、名古屋鉄道株式会社と連携した観光キャンペーンについては、閑散期や平日の展開を強化し、工夫を重ねます。
シェアリングエコノミーの仕組みを活用して空きスペースを有効活用する駐車場シェアや、体験型観光メニューの造成は、提供者と利用者が増えるよう取り組みを一層強化します。
教育部
次に「教育部」です。
国語教育日本一を目指す取り組みでは、読解力向上として、「正しく読む」「豊かに読む」力を高めるよう、各校の授業改善や、読書量増加に向けて取り組みを進めております。そうした取り組みを検証するため、令和4年度中に、読解力を測定する独自の犬山版読解力テストを作成するとともに、発達段階に応じた育成指標の完成と、指標を踏まえた検証・改善の仕組みの確立を目指します。
また、図書館連携司書や図書館コーディネーターが連携して作成した「学習支援リスト」や調べ学習の手引書となる「パスファインダー」を、現場の先生に提供することで、図書を活用した授業を支援するとともに、子ども達に本の魅力を体感できるよう取り組みます。
加えて、犬山市の国語教育日本一の取り組みについて、教職員や市民の理解を深め、さらに質を高めていくため、教育講演会の内容を充実させる形でシンポジウムを開催し、市内外へ発信します。
GIGAスクール構想の推進については、情報機器の活用により、わかりやすく楽しい授業づくりができているかどうか、PDCAサイクルを確立し、内容の検証と改善を進めるよう支援していきます。また、デジタル教科書について、令和4年度は、全小中学校に外国語と他の教科から1教科が配布されるため、令和3年度の実証事業に参加した2校による研究実践の成果を生かし、デジタル教科書の授業への効果的な活用に向け、備えてまいります。
身体の障害や学習に困難を抱える児童生徒の学びを保障するため、特別支援教育支援員1名を加配します。また、文字の読み書きに著しい困難を抱える障害(ディスレクシア)への対応を強化いたします。
次に、大規模改修事業を予定している犬山南小学校では、令和7年度の完了を目指し、令和4年度は実施設計業務を進め、工事用の仮設道路整備を夏休み前に開始する予定です。また、城東小学校と城東中学校の大規模改修事業に向け、現況の校舎や体育館の耐力度調査を実施してまいります。
小中学校施設の長寿命化計画に基づき、東部中学校と栗栖小学校の非構造部材の改修を行い、東小学校屋上防水工事をはじめ教育環境に支障をきたす設備などの改修工事を行い、教育環境の保全に努めます。
増加傾向にある不登校の児童生徒を支援するため、適応指導教室「ゆうゆう」に加え、既成概念に捉われない個性を引き出す居場所として、新たな受け皿となる施設を開設いたします。
栗栖小学校、今井小学校、池野小学校について、今後、小規模特認校への移行を目指し、令和4年度は、地元地域との合意形成を図りつつ、移行準備を進めます。
それぞれの小中学校で定める校則やきまりをはじめとする学校運営全体のあり方については、検証を重ねてきたところですが、子どもたちや保護者とも方向性を共有しながら見直しを進めます。
小学校を優先して進めてきた少人数学級は、国や県の対象学年が4年生まで拡大され、人員配置の見直しが可能となったことから、令和4年度から中学校へ新たに非常勤講師を5名配置し、一部の学年で少人数学級を拡大してまいります。
少子化対策については、多子・多胎世帯への支援策の更なる強化を図ります。
第3子以降の子どもが中学生以下の世帯や、双子(ふたご)以上の妊婦や多胎児をもつ世帯に対し、妊娠期から中学卒業までの成長段階に応じて、切れ目なく経済的支援や育児負担の軽減を図ります。
令和3年度からの取り組みに加え、令和4年度は、多子世帯に対し、一歳までのおむつ等育児用品の宅配事業、3歳未満児の保育料の無料化、保育園・幼稚園から中学校卒業までの給食費や児童クラブ利用手数料の無料化、わん丸君バスの乗車料金の無料化などを実施し、多子・多胎世帯への乳幼児健診の付き添い支援も新たに開始します。
子ども未来園整備では、令和7年度開園予定の橋爪・五郎丸新園整備について、令和4年度は、実施設計や用地取得などを進めてまいります。
また、羽黒及び羽黒北子ども未来園は統合し、市民プール跡地において、民設民営で令和8年4月開園を目指します。これを見据えて、令和4年度は、旧市民プールの令和5年度の解体に向けた設計業務に着手するとともに、地元や関係者との合意形成、事業者の公募を開始します。
保育環境の充実では、利用者ニーズへの対応と保育士体制の強化のため、令和4年度は6名の正規保育士を採用し、加えて新たに15名のフリー保育士を増員するよう進めていきます。また、育休退園について、まずは、待機児童を発生させないという前提のもとで、人材派遣による保育士3名の増員を進め、環境が整い次第、受け入れ年齢を拡大していきます。
病児保育事業の実施に向けて、この度、社会医療法人志聖会 総合犬山中央病院に事業を受託いただけることになり、令和5年度に施設整備、令和6年度の事業開始に向け、令和4年度は、国、県補助金申請などの手続きを進めていきます。
生涯学習事業の新たな展開としては、障害者の学びを支援するため、公民館講座を拡充し、名古屋芸術大学との連携による芸術分野の講座の開催を目指します。
「子ども大学」では、犬山動物総合医療センターとの連携により、子どもたちが動物と直接触れ合い、命の大切さについて学ぶ講座を新設いたします。また、「市民総合大学敬道館」では、梶原景時や小牧・長久手の戦いに関する講座開催や、講座の一部をオンラインでも受講できるように展開してまいります。
さらに、施設の有効活用については、市民文化会館において大ホール「舞台貸し」の本格導入や、配信用の通信設備の設置により新たな利用ニーズを掘り起こし、市民がより身近に利活用できる施設に転換を図っていくとともに、栗栖の野外活動センターにおいて、民間のサウンディング調査を行い、利活用の可能性を探ってまいります。
一方、市立図書館では、利便性を高めるため、ICタグによる蔵書管理等、図書館のICT化事業に着手し、計画的に進めてまいります。
「いぬやまスポーツコミッション」の展開につきましては、市内での活動に目を向けて、当市の地域資源を活かした取り組みに対して支援を拡充し、地域のスポーツ振興を推進してまいります。
文化財保存活用地域計画については、令和5年度の認定に向けて、計画の策定作業を行います。
令和3年度に開始した犬山市史編さん事業については、市政70周年の令和6年度刊行を目指した犬山市史(平成編)の編さんを進めます。
民俗文化財の分野では、犬山祭の車山行事や、各地域で守り伝えられてきた伝統行事の継承と保護のため、新たに拡充された国の補助を積極的に活用し、支援を強化します。
また、石上げ祭の県文化財指定に向けた手続きを進めるとともに、木曽川犬山鵜飼の文化財としての価値向上を目指し、調査の準備に着手します。
今年度公有化を行った天然記念物ヒトツバタゴ自生地については、将来的な保存管理、活用のあり方を定める保存活用計画の策定に着手します。
犬山城については、城山整備の一環として、針綱神社社務所北側付近にあった黒門の令和7年度の復元に向け、令和4年度は門の位置を確認するための礎石の発掘調査を行います。また、大手門枡形跡である福祉会館跡地を含む史跡全体の整備計画を、令和5年度にかけて策定を進めます。
消防
続いて「消防」です。
複雑多様化する災害から市民の安心安全を守るため、水槽付消防ポンプ自動車の更新など、装備の充実を図ってまいります。
消防団活動では、出動に対する報酬を見直し、消防団員の処遇改善を図ってまいります。
終わりに
以上、令和4年度当初予算並びに主要施策について述べてまいりました。
ここからは、市役所が良い仕事をしていく上で、組織風土に定着させておきたい点について申し上げます。
時代はこれからも変化し続け、そのスピードは増していきます。変化や困難はむしろチャンスですが、これを活かすことが重要です。市役所の仕事において、こうしたチャンスを活かすためには、向上心をエンジンにして、知恵を出し、挑戦し、検証と改善を繰り返すことが不可欠です。そこでは、既成概念にとらわれず、事なかれ主義から脱却し、柔軟な発想と創造性が求められます。
これを実践するためには、情報のアンテナを高く敏感にして、データを分析し、知識やアイデアを持った人材と積極的につながっていくことが有効です。また、目的・手段・効果を履き違えないよう、よく整理した上で、どうしたら犬山がもっと良くなるかを第一に考え、手間を惜しまず、最適な時間軸を意識し、手際よく行動しなければいけません。そして、事前の一策は事後の百策に勝るとの意識でのぞむことが肝心です。
賢い都市経営は終わりなき課題であり、1円でも稼ぎ、1円でもムダをなくし、確保した財源で行政サービスを充実させて、さらなる定住促進や産業振興を図り、都市経営の好循環を創り出す意識を失ってはいけません。災害など非常事態においてこそ、政治や行政のチカラが問われるところであり、いざという時の最適な対応に、全力を尽くさなければなりません。
市民や議会の皆様とは、風通しよくタイムリーに情報共有・意見集約を図ることが重要です。それには、相手の側に立って、最適なタイミングになっているか、相手に届いているか、相手が理解できる内容になっているかを強く意識し、正直に、丁寧に、本気で向き合う姿勢が不可欠です。ミスやトラブル、住民サービスに大きな変化が生じる事案こそ、特にその意識が必要です。
常に行動と結果で証明し、信頼を得ることに努め、課題や結果責任に対しては、逃げず、隠さず、ごまかさず、素直に向き合う覚悟が必要です。
以上に述べた点を、すべての市職員が自分事として強く意識し、それぞれの観点を仕事の仕組みの中に落とし込み、仕事の質を高めながら、思考・行動・検証・改善のサイクルを回します。意識と仕組みを一体的に適切に機能させることで、犬山市役所の組織風土づくりを進めます。また、仕事を通じて得られる達成感や喜びを、仕事にのぞむ動機づけに変換し、市職員がそれぞれの持ち味を発揮して気持ちよく仕事にあたれるよう、働きやすい職場環境づくりに努めます。
市役所の仕事ぶりや市政を評価するのは、市民の皆様です。市民の皆様から、犬山市役所は信頼できる、頼りになる、よく頑張っていると評価されるよう、市民の皆様のため、市の将来のため、チーム犬山みんなで最善を尽くしてまいります。
市民や議員の皆様のご理解ご協力をお願い申し上げ、私の施政方針とさせていただきます。
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経営部 企画広報課 秘書担当
電話:0568-44-0310 犬山市役所 本庁舎4階